日本テレビ系選挙特番「zero選挙」での一場面。
生出演した甘利明氏が苦戦の原因を語る。
「猛烈な落選運動を展開された。」
自身の金銭授受疑惑を改めて否定する甘利氏に、今選挙の苦戦はこの疑惑が影響したと思うかと追及の質問が飛ぶ。
「それがあるとすれば不徳。(実際には)一点の曇りもありませんし、一切関わっていないというのは何度も説明している。それでは納得できないと言われても説明のしようがない。」と説明責任は果たしたとする甘利氏。
自民党そして自身の苦戦について、幹事長としての進退に質問が及ぶと、
「今あなた方にお話することではない。まずお話しすべきはカメラではなく総裁にじゃないですか!」と不快感をにじませた甘利氏に、有働アナが言い放ったひとこと。
「カメラの向こう側には国民がいるわけですが。」
質問というでなく、皮肉を込めて言い捨てたという印象だ。
このやりとりに対するSNSの反応はおおむね肯定的だ。
「甘利幹事長、誰に向かって政治をしてるかこの一言ではっきり判る」
「その通りと思って見てたからスッキリ」
このことからも、彼女が一部国民の気持ちを代弁したことは事実だろう。
だが、一方で甘利氏を支持する国民もおそらく同程度は存在する。
事実をもとにした質問ならばまだしも、不起訴となっている金銭授受疑惑(しかも本人だけでなく秘書の罪も問われていない)を起点とした一連の質問が偏見に満ちているのは明らかだ。
そして何より、幹事長職の進退をまずカメラに向けて話すべきだというこの身勝手な考え方。カメラの向こうの「国民」?本当にそう思っているのかさえ甚だ怪しい。総理を飛び越えて「まず国民に」というのでは、それこそ選挙の意味などなくなってしまうだろう。
この点明らかに甘利氏の言い分がまっとうだ。
明らかに論理性を欠く「小さな脳みそ」。
疑惑の政治家を毛嫌いする国民感情。これには何の問題もないし理解もできる。自身の苦戦原因を「猛烈な落選運動」と結論付けるその恥知らずな思考回路にも甚だ呆れ果てるが、だからと言って報道に携わる者が自分の好悪のまま言葉を発するのは問題だろう。
「国民の意志を代弁する」のは「己と同じ考えの国民がいれば何を言ってもよい」ということにはならない。